【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

タイガーマスク現象!

「いやぁ、日本も捨てたモンじゃない」。昨年12月24日にニュースを見た時の最初の感想である。
寅年のクリスマスイブ、サンタの代わりにタイガーマスク伊達直人から養護施設で暮らす子供達へ、クリスマスプレゼントがあったという。
「何とココロ暖まる話だろう。産まれた子が母トラに放置され、飼育員に命を救われた釧路動物園の双子アムールトラを思い出す!」
(いまや威風堂々、命を救われた釧路動物園アムールトラのココア)
タイガーマスクも、伊達直人の名もかすかに記憶があった。確か学生最後の年(1943年)に連載が始まったはずだ。原作は「あしたのジョー」などを手がけた梶原一騎という記憶もかすかにある。ということは、その頃は漫画を読んでいたということか?
それはそれとして、群馬県中央児童相談所の職員が玄関前に置かれた荷物を見つけたのは、25日クリスマスの朝のことである。その荷物には「ランドセルです。子供達の為に使って下さい タイガーマスク」というメッセージともに10個のランドセル(30万円相当)が入ってた。
このニュースは、世知辛いいまの世の中の美談として、マスコミが一斉に取り上げた。そして・・・同様の寄付行為が瞬く間に全国に広がり、2週間後の1月11日には全都道府県、1000件以上という驚異的な数字を記録したという。

(ココアは後肢不自由、双子の傷害トラだ。もう一匹のタイガは死亡した)
過冷却水現象というのがある。水温がマイナスにも拘わらず凍らない水にトン、という僅かな刺激を与えただけで一気に凍り付く現象だ。マルコム・グラッドウェルの言う“ティッピング・ポイント(臨界点・発火点)である。
その後も続いている善意の寄付行為をマスコミは「タイガーマスク現象」と名づけた。
社会心理学者や福祉関係者、社会行動学者、NPO関係者などがこの現象を、寄付金制度のあり方など、いろいろ分析を試みてる。
ま、難しい分析は彼らにお任せすることにして、自分はやはり人間の本性なんだと思いたい。人間は本来、群で生きる動物である。ということは「他人を庇う」「他人のお役に立ちたい」という本能を潜在的にもってる筈だ。

(この本能は、人類にイチバン近いといわれるピグミー・チンパンジーボノボ”の実験でも確認されてる)

(人形で遊ぶココア、飼育員は元気を貰ってるという)
ただ、コイン(通貨)という人類唯一共通する価値を獲得したお陰で「他人のお役に立ちたい本能」は、邪魔者として遠ざけられるようになった。それが、人類、ことに日本人社会の中に過冷却水として溜まっていた。
今回、タイガーマスクのお陰で、溜まっていたエネルギーがティッピング・ポイント(臨界点)を超え、自然発火した。このタイガーマスク現象、何処まで広がるか、続いていくか、なんだかワクワクする!
だが、自分はまだこの寄付行為は行ってない。う〜ん・・・。
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