【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

未知との遭遇!

すぐ近くで♪ピョーピョ ピョーピョ♪という鳥の鳴き声が響いた。全身を耳にして鳴き声の方を見ると、草むらから灰褐色の頭の大きな鳥がピョコンと顔を出した。臆することなくコチラに近づいてくる。

(いきなり道路に飛び出してきたヤマゲラ。怖れる様子はまったくない)
黄緑色の背と尾羽。大きな嘴。彼はアリらしき虫を捕食しながら、道端を横切っていく。「多分、キツツキ科の鳥だ!」。夢中で何枚もシャッターを切った。家に飛んで帰って、鳥類図鑑を調べる。
予想は当たった。“ヤマゲラ”だった。『キツツキ目キツツキ科、体長30cm。北海道の平地から山地に留鳥として棲息する』とある。『繁殖期に姿を見ることは少ない』ともあった。

(アリなどが餌になる。カメラからの距離3mまで近づいてきた)
解説は続く。『アオゲラとよく似た黄緑色の体であるが、全体的に淡色である。本種は北海道だけ、アオゲラは本州以南に棲息するので、同一地域で両種を見ることはまずない』
それにしてもラッキーだった。希少価値の北海道特産品と「未知との遭遇」を果たしたわけである。とんでもないゼイタク感を味わった。
「生きてるだけでもゼイタクで、感謝してます」東北大震災後のTVインタビューで、ある被災者が応えてた。不謹慎で申し訳ないが、辞書が解説する「贅沢」よりも遥かに深い含蓄ある「ゼイタク」、そのお零れみたいなものを味わわせてもらった。

(頭に赤い部分がないのでメスと思える。飛立つとさすがに早い)
ヤマゲラはアリを捕食した後♪ケレケレケレッ♪と鳴き声を残して林の中へ飛立っていった。ドキドキ、ワクワク、実にゼイタクな3分間の「未知との遭遇」だった。
ヤマゲラの声が森の奥から再び聞こえた。♪ガンバレ、ガンバレ、ケレケレケレッ♪
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