【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

雪えくぼ!


▼春が近づくと雪国独特の風景がある。木の根元の雪が解け、ぽっかりと穴が開く風景がそれだ。「根開け」とか「雪根開け」と言う。「季語にもなっている」と、俳人達は教えてくれた。
▼念のため調べてみたが「実用俳句歳時記」(辻桃子編)には、どちらも季語としては掲載されていなかった。ヒョッとしたら地方季語(その地方独特の自然現象を表した季語)かもしれない。春を待つトキメキを込めて「雪えくぼ」と名づけた詩人もいる。さすが詩人、言い得て妙、の名づけである。
▼実は、移住一度目の春この「雪根開け」に遭遇した時、「木の持つ独自の体温が雪を解かすのだ」と思い込んだ。「生物はプリゴジンの熱力学に反して生きてる」との大発見を成し遂げたと思った。
▼だが、それはまったくの勘違いだった。「雪根開け」の原因は幾つかあるのだが、3月の強い日差しが樹の幹に反射し、その部分の温度が上がり周辺の雪が解ける」というのが最大の原因だと言われる。「な〜んだ、そういうことだったんだ!」
▼う〜む、無知は罪である。思い込みも罪である。でも、「雪根開け」が待ち遠しかった春の使者であることには間違いない。無知であろうと、思い込みであろうと、罪であろうと・・・春がついそこまで来ていることはウレシイ!