【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 石の意思!

▼いやぁ、オオタサン、ワシラに気づいてくれたアンタの先代には感謝のしようがない。たまたま釣りに来てたとは言え、よくぞワシラを見つけてくれた。先代が気づいてくれなかったら、ワシラは今も眠り続けてたに違いない。
▼最初に太陽を浴びた瞬間の眩しかったこと。よく覚えてるよ!脳天が光に射ぬかれたようだった。何しろワシャぁ、500万年も眠ってたんだ。その間、ワシラにもモーレツな圧力や熱がかかったりもした。

(約200万年前に絶滅。タカハシホタテと名付けられたホタテの先祖。現在のホタテのようには泳げなかったという。阿寒シェル鉱山で発掘した)
▼何度か山に登り、何度か海に戻りもした。そして今の形になった。だが、この形を守り抜くにはスゴイ「強い核力」(素粒子をくっつける力)が要った。物体として纏まる力である。思い返すだけでも肩に力が入る。
▼チョッとムヅカシイかも知れんが、これがワシラの言う「鉄の意志」ならぬ、「石の意思」(強い核力)じゃ。「石の意思」?何だ、そりゃぁ〜?なんてバカにしないで欲しい。人間のモノサシとは違うモノサシで測ればワシラはアンタ方が言う無機物じゃなく、ワシラにも分らん長周期の生命活動をしてるのかも知れんのだ。

(河原で拾ったハマグリみたいな貝の化石。貝殻を取り囲む土も化石になってる…)
▼先代がワシラを発見したのは、ただの偶然だったろうか?心理学者のユングはこういう偶然を、シンクロニシティ(意味ある偶然)と呼んだ。実は、「ワシラの発見されたい意思」に、先代の脳が同調したんじゃないかとワシラは思ってる。お陰でワシラは、阿寒シェル鉱山に住居を構えることになった。
▼もっとも「石の意思」に悪い同調をする輩が人間にはいる。ワシラの仲間のウランの原石なんかは、「弱い核力」(中性子が崩壊して陽子になる時に働く力)という「石の意思」をもってる。それを人間は、効率的に抽出して濃縮し、「原爆」や「原発」などトンデモナイモノをつくっちまった…。世界中でもめ続けてるじゃないか!

(一体いつ頃の化石だろう。ミズナラの葉みたいな葉の化石。アイヌも化石のことを知ってたに違いない)
▼話を変えよう。ワシラから新しい提案をしたい。というのもワシラを石灰や、土壌改良のために利用していただくのはありがたい。だが、ワシラは今後人類生き残りのためにもっと大きなお役にたちたいのだ。
▼ワシラが何故化石になっちまったのか?生命とは何なのか?ワシラを通してそれらの知識を獲得してもらいたいんだ!それが人類の生き残りのために重要な知識になることは間違いない!言ってみれば、これがワシラの本音の「石の意思」さ!

(河原にはこんな化石がゴロゴロ。孫や子どもたちの夏休みの体験学習にはぴったりだと思うが…)
▼“500万年ジオ・ゾーン”なんて化石公園をつくってもらえんだろか?観光客や子どもたちの自然観察や化石発掘体験に利用してもらう。そこでワシラの新しい役割と意味がはっきり分ってもらえると思うんだが…。オマエは誰だと?ワシは写真のタカハシホタテじゃよ!