【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「ク、クマが来たっ!」

※ソイツは突然出現した。噂には聞いてたけど目にしたのは初めてだ。「カメラ、カメラっ!」。慌ててレンズを向けるが、木の枝が邪魔して上手く撮れない!玄関ドアをそっと開ける。逃げないだろうか。が、心配は無用だった。人間を恐れる様子はないっ。

 

(最初に留まったのは、オンコ「イチイ」の木だった)

 

※庭にやってきたのは、ヒグマならぬ「クマゲラ」だった。ディズニーのアニメ映画、「ウッドペッカー」のモデルになったとも言われる「大型キツツキ」だ。鮮やかな赤い頭に黒い身体。「赤い帽子を被ったカラス」などとも呼ばれてる。

 

(地上に降りた。長い嘴を使い、盛んに何かを漁ってる)

 

※体長約45cm。基本的には留鳥だが、青森、岩手など本州には約100羽程度。北海道でも約500羽程しか生息しないと推定されており、1965年には天然記念物に指定されたという貴重種。動物カメラマンでさえ、なかなか撮影できないという。

 

(漁ってたのはこの腐った木の根っこだった)

 

※いろんな解説書には「警戒心が強く滅多に姿を見せない」とあったが、我が庭には10分以上滞在してくれた。「地上に降りない」ともあったが、地上に降りて腐食した木の根を掘りまくり、虫を捕えてるように見えた。圧巻は鳴き声とドラミングの大きさだ。

 

(ドラミングの音は野太い。山の中とやり取りする鳴き声も野太い。流石、最大級のキツツキだ)

 

※と言うのも、山の中からもゲラ類特有の「キョンキョン」と言う声が響き渡り、ウチに飛来した「ヤマチャン」も、呼応して応えていた。もしかしたら夫婦だったのかもしれない。これだけコーフンしたのは久しぶりだ。「来てくれてありがとう!」

 

(AFを解除して手動にすればよかった、と思ったが後の祭りだ)

 

※コーフンのひと時は、呼び合いながら飛び立ったことで突然お終いになった。100回以上押したシャッターだが、いい写真は撮れなかった。AFと手足の震えのせいだ。が、余韻が残った。もうこんな機会はないだろうけど、冥土へのいい土産話だ。

                ★

※話は違うが、歌人石川啄木の「啄木」はキツツキのことだ。彼は明治41年1月22日~4月5日まで76日間、釧路新聞社の編集長として釧路に滞在。「さいはての駅に下り立ちゆきあかり さびしき町にあゆみいりにき」などの短歌を残してる。

 

※「ヤマチャン」、こう言うと君には失礼だけど、プーチンの貌、君に少し似てない?えっ、「自分はあんな悪人じゃない!警戒心は強いけど、戦争など仕掛けない!」だって?それは失礼しました。確かにねぇ。