【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

メジャー・ファーム!

イチロー松井秀喜、松坂、岡島など、日本人がMLB(日本語訳:大リーグ)で大活躍してる。
だが、MLBで活躍できる選手はホンの一握りだ。大半はファームで汗と土にまみれて、メジャー昇格を目指しながら下積み生活を送ってる。
ファームの原義は「契約する」である。それが「→地代契約→農地、農園」に拡大した。だから、養殖場、飼育場も「ファーム」である。要するにMLBのファームは、メジャー選手を養成する飼育場と言うわけだ。

道東にはファーム(農場)が沢山ある。ビジネスと言う視点で言えば、この20年間、ファームに当たる陽は弱々しかった。金融やITが強烈な光を浴びていたのである。
だが、風向きが少し変わりつつある。ファーム(農場、農園)は、北海道、いや、もっと言えば日本を支えるファーム(養殖場)となる可能性が色濃く浮かび上がってきたのである。
この5日、阿寒・ニニシベツの「ワンツー牧場」で「ワンツーフェス」と銘打った、大掛かりなイベントがあった。東京から打楽器奏者のスティーブ・エトウ、イタリア料理家の栗本清などを招き、ライブや料理イベント、さらには子ども達の搾乳体験やチーズ造りなどを楽しんでもらうというものだった。

道東の酪農ファームでは画期的なイベントだった。会場は勿論、「ワンツー牧場」の広大な敷地内。ライブには牧草の格納庫、納屋が当てられた。まさしく手づくりイベントである。
当日は快晴。さわやかな風が吹く中、釧路市や近隣から多くの人が集まった。300人じゃ利かないだろう。若い子供連れ夫婦が目立つ。乳牛など見たこともない子供たちの体験の場としてはうってつけである。地元メディアも繰り出し、市長も見学に来た。「ワンツー牧場」は夏祭広場に化したのである。

牧場主の渡辺学さん(31)は、去年まで東京で営業マンとして活躍していた。3代続いた酪農家の廃業を決意した父親を引き止め、後継を申し出てUターン。新しい酪農ビジネスの創造に向けて走り出した。
新牛舎の建設、ヒトの手を借りず、しかも牛の体調や乳質などをコンピュータ管理できるロボット搾乳機の導入、自家製ソフトクリームや乳製品の製造販売、さらには観光牧場化、と渡辺さんの夢は広がる。
「金融資本主義」が破綻をきたす前の決断だった。
今年の毎日新聞のテーマは「農と食」。経済新聞の雄「日経」も驚くことに「農業」を大きなテーマに掲げた。
「金融資本主義」が崩壊したいま、これからは「環境」の時代と同時に「農」の時代と言っていい。今まで弱々しい陽しか当たらなかった農業に力強い陽射しが戻ってきたのである。もしかしたら、後継者問題にも道が開けるのかもしれない。疲弊する北海道経済に、新しい元気をもたらし、誇りを呼び起こすきっかけになるかもしれない。

田中義剛の「花畑牧場」は、生キャラメルでメジャーになった。「ワンツー牧場」にもメジャー昇格の期待がかかる。
「ワンツー」パンチで未来を切り拓き、メジャーへと駆け上がって欲しい、若い世代による新しい農業ビジネスモデルを切り拓いて欲しい、と思うのは不肖ワタクシばかりではあるまい。時代の追い風が吹いてる!できる限りの応援をする積もりでいる。