【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 凍れる朝の美しき月!

▼「智恵子は東京に空が無いという」と書いたのは、詩人の高村光太郎だった。少し飛ばして、詩はこう続く。「智恵子は遠くをみながら言う 阿多多羅山の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとの空だという あどけない話である。」智恵子はどんな空を見ていたのだろう。

▼成人の日から3日後の13日早朝、阿寒の西の空には煌々と月が輝いていた。大枝隆史郎氏製作の「LUNA CALENDER」によると、旧暦12月20日月齢19.4日とあった。
▼−24℃の凍て空に浮かぶ月はあくまで白く、清澄、透明で「月が凍れる」という言葉しか思いつかなかった。智恵子ならこの空を何と言っただろう?
▼山紫水明は好きじゃない、という人も居るだろうが、大抵の人は抜けるような青い空や透き通った水、埃の混じらない澄んだ空気が好きのようだ。汚泥や汚濁、汚物から距離を置いて生活したいと願うのは、もしかしたら、人類に刻み込まれたDNAなのかもしれない。
▼世界が不透明感を増している。アメリカもユーロもロシアも中国も日本も・・・凍れる朝を迎えている。地吹雪、視界不良。気象予報士の経済学者の予報も、おぼつかない。
▼こんな時は“マネーというもの”を投げ捨ててみるのが、澄んだ空と美しい月を取り戻すコツ、というのはあどけない話だろうか?